
片山恒夫 概略歴
- 明治43年(1910)7月14日生まれ
大阪歯科医専(現・大阪歯科大学)卒
モデル豊中保健所口腔衛生係長(特例で夜間開業を許可される)
大阪府歯科衛生士養成所所長、豊中保健所口腔衛生係長兼務
大阪府衛生部主査、市立豊中病院歯科部長を経て、片山歯科研究所主宰
日本歯周病学会元理事・評議員
平成元年10月 日本歯周病学会より指導医の認定を受ける(指導医登録第11号)
平成元年10月 日本歯周病学会より片山歯科研究所が研修医施設の指定を受ける(指定番号30号)
- 平成10年 5月 日本歯周病学会より生涯指導医の認定を受ける
- 日本口腔衛生学会元評議員
- 医学博士、F.I.C.D.
- 平成18年2月22日 ご逝去(1910〜2006)
片山セミナー
資料1 修復・補綴物装着は口腔疾患治療の完成か
毎回配布される資料の一つで、講義の趣意と流れが如実に、かつ的確に述べられている。
修復・補綴物装着は口腔疾患治療の完成か- 修復・補綴物装着は、いわば永続的包帯であり、そして機能を代行する保護的補綴物であり、損耗し老化する生体に適応して自らも損耗老化を続ける代用(人工)臓器である。
だから治療の完成ではなく、健康保全の準備の終わりでしかない。 - また疾患治療は、病因の存続する生活が続けられるなかでは対症療法であり、どのように良くなったとしても一時的で、したがって寛解しているにすぎない。
- だから「病因除去と体力増強」が、健康を十分維持できる状態になるのでなければ、健康回復したのではない。
したがって治療の完成は医師の「手のなかにだけある」のではなく、患者の自覚による生活の改善のなかにだけ創り出されるものだ。 - 社会生活のなかでの「心・身」のコントロールは、自覚による自身に対しての管理統御であり、自覚によってのみ行われるもの。
したがって医療者は、医療を通し病者の自覚を促し、生活改善の援助者となる。 - これらの主旨が回復治療の間に、患者に納得できれば継続的な検診と助言、援助を求める健康指導のクライエント(依頼者)と変貌成長する。
見ていただいた治験例は、その間の記録である。 - 質問にお答えする医療論は、すべて治験例の記録によって得られた実証に基づくものである。
片山歯研セミナー
- 修復・補綴物装着は、いわば永続的包帯であり、そして機能を代行する保護的補綴物であり、損耗し老化する生体に適応して自らも損耗老化を続ける代用(人工)臓器である。
資料2 京都・大磯セミナーに提言する
歯科医療と生活改善 ー健康づくりの基礎としての歯科医療の確立をー 1982.5
歯科医療すなわち、口腔疾患とその回復に食生活のあり方は直接的に拘っている。
疾患の進行を阻止して、噛むことがつらくなく、気持ちよく楽しく食事ができるように回復させる歯科医療、それで果たして医療として十全なのであろうか。口腔疾患の代表的な歯牙う蝕症(ムシ歯)あるいは、その周囲組織の疾患(歯槽膿漏)は、口腔諸機能のなかで重要な咀嚼機能を著しく障害し、病的に変化させ、習慣化し定着させさえもする。
僅かの不調で気持ちよく噛めない時から次第に痛くて噛むことが気になるようになり、ついに噛めなくなる。
その間の数年もの永い期間に病的不全咀嚼は習慣化する。治そうと始めてから、気にかからないように食事ができるようにまで回復する。そのような処置が一般には、歯科医療と認められている。
しかしこのような歯科疾患に対する処置治療、いわゆる、歯科医療は疾患の現症を改善するに止まり、疾患発生の原因までを除去するものはなく、病因は依然として温存され増強されこそすれ、減弱することは一切見られない。
また回復は自然治癒力によって完全治癒したものはなく、組織には不調和な人工物(組織臓器)として代用しているにすぎない。
資料3 いわゆる片山セミナーについて 「開業歯科医の想いⅡ」序文より
昭和56年(1981)9月、スリーエムホテル(奈良県)と大磯アカデミーハウス(神奈川県)で、歯科医師数名の要請により開いた「片山先生に臨床を開く会」が最初である。
関東と関西でそれぞれ春と秋に、15年間休むことなく続き、開催場所は大磯(第13回から箱根)と京都(関西セミナーハウスー第1回のみ奈良)であった。
年を経て一般に片山セミナーと呼ばれる形に発展したのである。
平成8年(1996)11月、アカデミーハウスが閉鎖されるのを機に募を閉じた。学会発表・著述・講演
片山恒夫
学会発表
昭和30
・職業性歯牙疾患 特に酸蝕症について 阪大医学部教授会
昭和38
・カラーフィルムによるPMA indexについて 第12回口腔衛生学会総会
・カラーフィルムによるPMA indexを用いて職場集団に対するブラッシング指導の効果判定を行った成績
第4回日本歯槽膿漏学会総会
昭和40
・少数歯固定と除石 ブラッシングを主とした所謂歯槽膿漏の臨床 第7回日本歯槽膿漏学会総会
・市販銀合金による所謂歯槽膿漏症の永久固定について 第8回に本歯槽膿漏学会総会
その他
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著述
昭和35
・口腔衛生にめざめよ
昭和38
・カラーフイルムによるPMA index について
・カラーフイルムによるPMA indexを用いて職場集団に対するブラッシング指導の効果判定を行った成績
昭和40
・歯周疾患の予防について
・メインテナンスとリコール
昭和41
・社会保険における歯槽膿漏症治療の問題点
その他
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講 演(一般向け講演は除く)
昭和38 姫路研究会(8月、9月、11月)
昭和40 西宮歯科医師会
昭和42 姫路同好会
吹田研修会
昭和43 吹田同好会
都島歯科医師会支部学術集団会
阪大OB会
大阪歯科衛生士会
九州鳥巣会
その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
還暦に我が天職を思う
この建物は、約10年前に分院予定地として東豊中区に用意していた土地を、隣地に数年前歯科医院が出来たため処分し、研究所内に研修者のための設備を主目的として僅かな宿舎も含め増改築したもので、場所がら防震防音防塵を特に留意した。
施行は(株)あめりか屋がこれにあたった。
なにぶん20数坪の敷地であり、資材搬入口は2m少々、資材置き場等一切なく、その上診療を続けながらの工事であったために種々の困難にたえ竣工できたことは、近隣の御好意もさることながら施工者には心から尊敬と感謝の意を表すべきものと思う。片山は還暦を機に臨床から離れる。
そして、「片山セミナー」胎動の兆しが見え始める。NPO法人恒志会設立当時の記録
NPO法人恒志会が設立されたのは平成16年でしたが、実際、会員公募を開始したのは平成18年でした。
この2つの資料は、かつての30回に及ぶセミナー参加者に発送したものです。設立趣意書
入会案内
恒志会機関誌発刊に思う
この文章は、恒志会 会報発刊に際し、当初準備してあった巻頭言です。
前理事長 歯科医師 片山恒夫
この度NPO法人恒志会の活動の一環として、機関誌発刊を行うに当たり、 所感のご挨拶を述べたいと思います。
これからの活動は、従来からの活動を継続するとともに、新たに機関誌の発行が行われることになりました。
従来の活動とは、第一に、私の業績を見て頂き、その主旨を聞いて頂く実績写真によるセミナーとし、第二に、外国図書翻訳或は自分の意見を業界雑誌から求められた場合、自分を顕わ(あらわ)にすることを避け、ある点を押さえるような書き方で応じるよう終始心がけ発表することです。また、この会誌を利用し、従来から親しくしていたアメリカPrice-Pottenger Nutrition Foundation(PPNF)との交流の状態、或はその他の未発表の諸事を会員の皆さまにお伝えすることも可能になりました。
片山恒夫 お薦めの本
片山先生が自分で読み、他の方にも読んでもらいたいと思った書物には「しるし」が付いていました。
何かの折りに勧められたり、頂いた方もおられると思います。- 人間この未知なるもの A.カレル著 桜沢 如一訳 日本CI協会
- 人間この未知なるもの A.カレル著 渡部 昇一訳 三笠書房
- カレルこの未知なるもの J. J. アンチェ著 春秋社
- ルルドへの旅 A.カレル著 エンデルレ書房
- 健康は幻想か M.ケーンレヒナー著 紀伊国屋書店
- 健康という幻想 R.デュボス著 紀伊国屋書店
- 医者と患者 P. L.エントラルゴ著 平凡社
- 医者と患者 E.L.キャッセル著 新曜社
- 医学概論ー第3部医学について 澤瀉 久敬著 創元新社
対談・メディア
日本短波放送 「歯科医の時間」
歯周病を考える ー臨床の立場からー 昭和58年2月19日
歯周病を考える ー臨床の立場からー の標題を与えられた、大阪府豊中市岡町で開業しております片山恒夫でございます。
思い返してみますと、極く一般的な開業医としての臨床をやっていながら、早45年以上にもなる間、歯周病について考え考え実行してきたことになります。
御指名によりまして、これから10分間のあいだにそれらを要約して申し述べてみたいと思います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
高齢者社会を迎えて
いまこそ患者指導を柱に
片山先生は、戦前から「患者指導こそが歯科医療の柱である」と強調され、またそのとおり実践されてきました。
本誌臨時増刊『歯周病学―ペリオのすべて』が発行されたのは1965年です。
この時点ですでに「メインテナンスとリコール」をものにし、1981年の「歯科医療とブラッシング」(本誌57巻6号)では人の治療を字句に、ブラッシングの位置づけに関して歴史的に考察されています。また数多くの論文に共通して述べられていることは、病因の除去であり、生体の賦活化であり、健康の増進であり、なによりもものの治療から人の治療へです。長もちしてこそ歯科医療という言葉も印象的です。是を証明してみせる数多くの実践例も驚異です。
今回は、これまでの先生の主張をふまえて、現時点における患者指導の意味、具体的な方法等について、お聞きしてみたいと思います。(編集部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人間 このすばらしきもの
サンスター編 金田博夫対談集
サンスター金田博夫社長と各界一流と言われる人物100人との対談
はじめに
生物としての人、人類が、人間になるには、人と人との間に育ち、生活するから『人間らしく』なるのです。しかし、生き方、育ち方により、十人十色、百人百色の人間ができます。だからおもしろい。一人の人間のもつものは計り知れず、その価値は地球より重いといわれます。(金田)その100人の中に、歯科医・片山恒夫が登場しています。
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「歯の健康は生活の改善から」
要約
口腔衛生の草分け的存在
昭和14 頃から豊中市学校衛生指導開始
昭和21 東京杉並と大阪豊中の二カ所にモデル保健所選定
昭和24 歯科専門学校が大学に昇格 口腔衛生学教育開始
昭和27 口腔衛生学会誕生歯科の病気は「文明生活由来性疾患」であることから、生活の在り方そのものが原因である。従って(歯磨きの方法も含め)生活そのものを変えていくべき。
歯科治療の本当の目的
- 虫歯であれば、長持ちする包帯で癒えたようにする事。
- 歯周病であれば、自分の力で癒していくために力を付けてやる事。
日常生活習慣によっては、歯をだめにもするし顎をだめにする。
正しい食生活。正しい食物を正しく食べる。その指導者として最もふさわしいのが歯科医師であることを、歯科医師自身が認知すること。指導に関しては、ラーンド・プロフェッション
- 顕微鏡
- 口腔内カラー写真
- 『食生活と身体の退化』を利用
歯科医は、4時間診療、4時間技工、そして4時間読書を心掛けること。
60才に医院増改築し研修所開設し、さらに多くの歯科医のためにセミナー開催。
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DENTAL MOOK 臨床診断 宮地建夫 編
豊中市開業 片山 恒夫
Editor’s Voice
歯科臨床診断について,片山先生からお話いただいている幾つかの事柄が、どうしても必要な内容だとは思うのですが、いざそのうちの何かと問われますと,明確にこれこれと答えられず、自分自身も歯がゆい思いをしております。今日は歯科治療の中の原因除去療法とはどういうことか、治癒の考え方やとらえ方、モチベーション、健康観、予防の考え方などが質問のメインになるかと思いますが、先生のお話しは、いつも前回お聞きした時よりも、多くのことで意味が深まり新しい概念が追加されて、新たな感動を覚えるのが常ですので、あまりテーマを限定せずにうかがいたいと思います。
聞き手 斎藤純一(山形市)、藤村三良(盛岡市)、宮地建夫
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『致知』 医者の人間学 連載㉕
「我、繃帯す、神、癒し給う」
患者に自ら気づかせ、ともににやる気を引き出す—それが医者 1989年8月号思いっきりインタヴュー
産經新聞 平成4年(1992年)2月1日 土曜日
年を取ってもおいしく物を食べたい。高齢化社会を迎え、歯の健康の重要性が高まっている。「患者に何が最善か」と、歯槽膿漏(のうろう)治療に取り組んで半世紀、大阪・豊中市の歯科の開業医、片山恒夫さんに聞いた。 (聞き手 石井敦)
噛み方健康法
正食協会
ー驚くべき「噛む」効果ー
このサブタイトルの書籍に、片山先生のインタヴュー記事が掲載されています。
内容的には、- 桜沢如一「フレッチャーの噛み方主義、その驚くべきべき効果」
- 山口卓三「文明人と噛む」
- 西澤 一「がん予防は噛むことにあり」
- その他、噛むことによる身体への影響をテーマにした記事が掲載されています。
プラークコントロールの真の正しいあり方
平成13年2月20日
プラークコントロールと言いながら、ただの歯磨き。
プラークは常時、皆無にできるものではない。
プラークは、口腔常住細菌ともいわれ、口腔の健康に寄与するもの。
しかしこれが増殖・停滞した場合に、疾病の原因と変化する。歯垢の存在の位置とその量の多さを患者自身が認知し、患者自身が口腔内の状態を見定める事により、その除去を自分で可能にする努力と技術を身につけなければならない。
そのように口腔の全域、あらゆる場所を見ることと、付着する歯垢を害の無い方法で除去できる技術を養成するのが、療養指導の任務であり使命であると言える。
それに到達できる指導は、適当な用具を用いる事が必須条件といえる。それが歯ブラシであり、オーラビューミラー(口腔内照射拡大検視装置)である。